感性・官能評価システム J-SEMS

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感覚の時系列変化測定装置の開発と事例

感覚の時系列変化測定装置の開発と事例

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TDS法の時間の基準化

J-SEMS・TDSで測定したデータの時間の基準化をする計算方法はこちらから

 

CATA法とは

CATA法(Check-All-That-Apply)は、マーケティング調査で主として用いられる方法で、パネリストに複数の評価用語の中から試料の特徴を表すと思う用語をチェックリストの中からチェックしてもらい(表1)、それぞれの評価用語がチェックされた数を基にして試料の特性を明らかにしようとするものです.

それぞれの評価用語に関して、チェックされた頻度に違いがあるかをコクランのQ検定により検定します。表2は、コシヒカリ、低たんぱく米、ミルキークイーン、ササニシキの4種類の炊飯米を食べて評価した時の結果で、評価用語は、「好きな味」から「あっさり」まで、11個の用語を使用しています*)

*)島村・小泉・峯木・市原 (2017) 飯の官能評価の時系列変化.日本家政学会誌, 68, 9, 478-485.

 

表1 CATA:チェックリスト

好きな味
嫌いな味
甘い味
甘い香り
程良い粘り
飲み込みやすい
ねっとりとした
かたい
渋味
酸味
あっさり

 

 

表2 CATA法による各用語の選択頻度

コクランのQ検定

 

例えば、「好きな味」に関して、n人のパネリストのそれぞれが、k個の試料についてチェックしたか(1)、チェックしなかったか(0)という一覧表(表4)を基に、試料間でチェックした比率に差があったかどうかを検定するものです。

表4 CATA法結果(あっさり)

 

検定統計量Qは下記の式で求めます。

 

Q=[(k-1){kΣUi2-(ΣUi)2}]/{kΣXi-(ΣXi2)}

    ={3×(4×222-282)}/{4×28-58}

     =5.8

k:試料の数 4

 

求めたQをχ2乗値として、χ2乗検定を行います。なお、自由度はk-1=3です。

検定表より、自由度3で危険率5%のχ2乗値は、7.81ですが、得られたQ値は5.8で、その値よりも小さかったことから、試料間の比率に差はない(有意ではない)ことになります。

表2にCATAによる炊飯米の官能評価で、用いた評価用語ごとにコクランのQ検定を行った結果が示してあります。

TDSとは

TDSは、Temporal Dominance of Sensationのことで、複数の感覚の時系列変化を同時に測定する方法です。複数の感覚の時系列変化を同時に測定することができる利点があるとされています1)

1) N. Pineau et al. (2009) Temporal Dominance of Sensations: Construction of the TDS curves and comparison with time-intensity. Food Quality and Preference 20, 450-455.

<測定法>

TDSの測定法は下記の通りです。

①試料をパネリストに呈示した後で、その多くの感覚属性の変化を同時に測定する。

②パネリストは、知覚に変化を感じる度ごとに(強度や質の変化)、どの属性が一番注意が引かれたかを判断する。

③属性を示すボタンが画面に呈示され続けるが、パネリストは、瞬間毎に一番注意が引かれた属性のボタンを押し続け、別の感覚に注意が移ったときは、そちらにシフトする。

 

<データ処理>

データ処理は下記の手順で行います。

①すべてのパネリスト、すべての繰り返しのデータをもとに、各時点において、一番注意が引かれたと判断された属性の割合を求める。

②その割合の変化過程を、横軸に経過時間、縦軸に①で求めた割合(甘味が他の味覚の中で一番強いと判定された割合)に取って、図で示す。

③②で得られた関数は、階段状に変化したものになるため、関数のスムージングを行う。→TDS曲線を求める。

④同様に、すべての属性についてTDS曲線を求め、図に描く。

 

<TDS曲線の例>

以下の図は、TDS法を用いて炊飯米のテクスチャーの時系列変化を測定した時の例です2)

2) 島村・小泉・峯木・市原(2017)飯の官能評価の時系列評価.日本家政学会誌, 68, 9, 478-485.

用いた炊飯米は、コシヒカリ、低たんぱく米、ミルキークイーン、ササニシキの4種類でしたが、コシヒカリに対するTDS曲線は以下のとおりでした。なお、TDS試験は、弊社のJ-SEMS TI・TDSシステムを用いて行いました。なお、J-SEMSのTI・TDSでは、試料間の差の検定とそのグラフも標準装備されています。

<データの分析法>

①TDS曲線における有意水準の計算

ある属性を選択した頻度が、それ以外の属性を選択した頻度よりも統計的に有意に高いかどうかは、下記の式を用いた2項検定により行います。

ここで、

Psは、各時点で属性が選択される確率が有意になる(チャンスレベルPoよりも大きくなる)最低の値のことで、TDS曲線のあらゆるポイントで、有意になる確率の最低値を示します。

Poは、チャンスレベルで、Po =1/P(Pは、調べる属性の数)です。

nは試行数で、パネル数×繰り返し数で求められます。

 

② TDS曲線同士の差の検定

2つの試料に対する曲線を比較するために、両者の優位比率の差の検定を以下の式で行います。

 

ただし、

 

 

 

ここで、:時刻tにおける確率の差の最小有意差(α=0.05)

P1t:時刻tにおける試料1の生起確率

P2t:時刻tにおける試料2の生起確率

n1:試料1を評価したときのパネル数×繰り返しの数

n2:試料2を評価したときのパネル数×繰り返しの数

各時点における試料間の優位比率の差の絶対値がPtdiffよりも大きければ、危険率5%で有意になります。

 

<TDS曲線の時間の基準化について>

TDSの実験を行うときに、パネリストによって、測定が終了する時間に変動が生じる

ことがあります。その場合に、TDS曲線を経過時間通りに描くのではなく、開始時から

終了時までの時間をパネリスト毎に基準化して、例えば、開始時間を0、終了時間を100

に基準化して、測定時間の影響を取り除いて、曲線の形そのものを問題にするということ

も行われています。

JSEMSのTI&TDSの装置では、TDS曲線における時間を基準化する機能は標準化さ

れておりません。その場合は、JSEMSとパソコンをWiFiでつないでローデータ(csv

ファイル)をパソコンにダウンロードし、下記のような手順で計算して下さい。

 

  • 時間の基準化の計算手順

1)親機とパソコンをつないで、各条件における測定結果をダウンロードする。

2)パネル毎に計測終了時間を確認する(例えば、試料1:パネル1の計測終了時間は、「時間」の値が19なので、計測終了時間は19+1=20秒になる

3)各時間の値を計測終了時間で割り、それを基準化時間として、その値を「基準化時間」の欄に入れる(例えば、試料1:パネル1の時間3の基準化時間は、3/20=0.15、時間19の基準化時間は19/20=0.95になる)

4)各時間でパネルが「甘味」のボタンを押した場合は1、押さなかった場合は0の値が、P1, P2の欄に入る

)計測時間を確率5%刻みに変換するので、「5%きざみ」の欄に確率0.05ステップで上昇する数列を入れる

6)基準化時間と5%刻み時間を見比べ、例えば5%きざみの値が0.05は、基準化時間のどの時間帯に入るのかを確認する(例えば、試料1:パネル2の場合、5%きざみが0.05という

のは、基準化時間では、0.04と0.08の間であるが、この表の基準化時間0.04というのは、0.04以上、0.08未満のことであるので、0.05というのは、この表の基準時間0.04に含まれる

と考える。よって、この場合、修正P2の値は基準化時間0.04のP2の値になり、1となる)

7)6)を繰り返すことにより、修正P1~修正P2の欄に1もしくは0の数字を入れ、それらを基

準化した時間に対する反応とする。

上記の方法で各きざみ(この例では5%きざみ)における値(この例では、「修正P1」と

「修正P2」)を加算し、各きざみにおける反応度数を求め、それを基に、当該の感覚属性

(この場合は甘味)の優位比率を求める。